クロアチア出身のチェロユニット「2CELLOS」が、「レット・ゼア・ビー・チェロ~チェロ魂」プロモーションのために来日。2017年2月以来となる、TVGrooveのインタビューに応じてくれた。
「2CELLOS」は、クロアチア出身のルカ・スーリッチ(31)と、ステファン・ハウザー(32)から成る、チェロ・デュオ・ユニット。クラシック界で将来を有望視されていたふたりが留学先のロンドンで再会し、2011年にマイケル・ジャクソンの「スムーズ・クリミナル」を2本のチェロのみで演奏した自主制作映像をYouTubeにアップ。瞬く間に話題となるとスターダムへ駆け上がり、ついに今年11月、夢の武道館公演が実現する。
久しぶりのインタビューでも、クールなルカと、無邪気なステファンといった印象はそのまま。カメラの目前に迫り、「撮ってよ! ねぇ!」とせがんでおきながら、フラッシュが眩しくて悲鳴をあげるステファンを、あたたかく見守るルカ。そんなふたりの姿に同室の一同が和みつつ、インタビューは進んだ。
――今回の来日はずいぶんタイトなスケジュールだそうですね。
ルカ: 忙しいけど、いいプロモーションツアーだよ。11月にはぼくらが出演した「題名のない音楽会」も放送されるんだ。
――新アルバム「レット・ゼア・ビー・チェロ~チェロ魂」はどんな作品ですか?
ルカ: 原点回帰となる作品なんだ。前作はオーケストラを入れたけど、今回はチェロのみ。自分たちのルーツに戻ったサウンドだよ。音もアレンジもクールなんだ。
(AC/DC風のタイトルに込めた意味は? ※「ロック魂 原題:Let There Be Rock」)
ステファン: 神は人を作り、猿を作り、恐竜を作られ、そしてチェロが生まれた! レット・ゼア・ビー・チェロ! ぼくらは革命を起こした。2CELLOS以前のチェロは、大きく注目を浴びる存在ではなかった。ぼくらはチェロをまったくの別次元に押し上げ、大規模コンサートを成功させ、メインストリームに組み込んだ。それがレット・ゼア・ビー・チェロの持つ意味だ。
――クラシックの改革という意味で、本作にはヴィヴァルディの楽曲が収録されています。MVではタイトル通り、嵐の中での演奏を披露しました。
ルカ: あのMVはステファンの地元に近い、クロアチアのプーラで撮影したんだ。そこにはローマ時代に建設された、石造りのコロシアムがあって、まるで洞窟みたいだったね。いいロケーションだと思ったよ。
(チェロもひどい目にあっていたので、心配になりました)
ステファン: 本当に? 心配無用だよ(笑)
ルカ: 実は雨じゃなくて、湧き水だったんだ。
ステファン: でも撮影は大変だったよ。すごく寒いし、演奏もしにくかった。生きていられてよかった!(笑)
――「アイ・オブ・ザ・タイガー」ではチェロバトルとでもいうべき激しい演奏を見せてくれましたね。
ステファン: 戦闘シーンを再現したかったんだ。ボクシングや、ストリートファイトのように。世界一有名なファイトソングだから、チェロで再現したらおもしろいと思った。だから本当のケンカみたいなセットを用意して、うまくやれたと思うよ。ねぇ、ぼくらのどっちが勝ったと思う?(笑)
――「デスパシート」では、適当に歌うコミカルな場面もありました。
ステファン: このアルバムはバラエティに富んでいて、クラシックがあれば映画音楽、ロックにポップスも入っている。ラテンやダンスがあってもいいじゃないか。チェロの個性すべてを発揮したかった。なんだってできるんだと示したかったんだ。
「デスパシート」はリラックスしたサマートラック。みんな意外に思って、驚いたみたいだけど、最終的には気に入ってくれたみたいだね。この曲を収録したのは、楽しい一面を見せたかったから。みんな楽しんでくれるしね。
――本作には久々のオリジナル楽曲が2曲入っています。
ルカ: 1曲目の「コンセプト2」は、車のCMのために作ったものなんだ。世界一速い電気自動車だよ。それが気に入ったから、フルバージョンを作ってアルバムに収めた。
「カデンツァ」はソフトな楽曲。4曲目に収録されていて、激しい楽曲が3曲続いたあとに、落ち着くスローなナンバーだよ。
――来月には初の武道館公演が控えています。意気込みは?
ステファン: 最高のショーを期待してくれ。愛するファンのため、ぼくらに出来うる最高のショーをお届けするよ。他では見られない、世界一のショーだ。これまでの自分たちのベストすら越えるベストになる。だってぼくらにはそのやり方がわかっているからね。人生を通じてそれを学んできた。たまたま運がよかっただけで、有名になったアーティストじゃないんだ。本物のショーを楽しみにしていてくれ! 新アルバムの曲を初披露するよ。これまでの作品もやるから、まさにベストなセットリストになるんだ。
――今年5月にはUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦直前で演奏、8月にはメタルフェス出演と、おおよそ枠にとらわれない活動をされている印象です。その心は?
ステファン: それは2CELLOSがどんな場にも、どんなイベントにも馴染めるということだよね。ヘビメタフェスでも、劇場、アリーナ、スタジアム、どこでだってできる。ぼくらの強みだ。それがぼくらが成功できた理由だね。活躍できるフィールドを広げたのさ。
(それぞれの会場で、観客のレスポンスはいかがだったでしょうか?)
ステファン: おおよそ好感触だよ。少なくとも、ブーイングされたことはないな(笑)
――今年6月のワールドカップでは、母国クロアチア準優勝の成績を収めましたね。
ステファン: あー! ほぼ優勝したようなもんだよ! この悔しさは一生消えない!
ルカ: ぼくらは優勝した気でいるからね。
ステファン: ほとんど勝っていたのにツキがなかった。試合はこっちが支配していたんだ。ずーっとこっちのペースだったのに。
ルカ: きみも出場していたんだっけ?
ステファン: そうだけど?
ルカ: クロアチアのゲームだったのに。
ステファン: ゲームを支配していたんだ! たったひとつの失敗で負けたんだ! 史上もっとも悔やまれる決勝戦だよ。何が起きたんだか、誰も説明できないんだから! 信じられない!
(16強で終わった日本の立場からすると、充分うらやましい結果です)
ルカ: 日本もいいプレイをしていたよ。
ステファン: 日本とクロアチアは友だちさ。一緒にフランスを倒そう!(笑)
――最近、ルカさんにはお子さんが生まれました。新しい変化は感じますか?
ルカ: 父親になるって世界一のことだよ。何とも比べられないね。音楽だけじゃない、人生に影響があった。まったく違った目標ができるし、人生の異なる面が見えてくるんだ。
実はぼくには息子がふたりいて、ひとりは彼、ステファン。どうしようもない子で恥ずかしいったらないね(笑)
ステファン: ママー!(笑)
――一方でステファンさんは、ほかのミュージシャンと組んでユニット外の活動も行っています。
ステファン: 他のミュージシャン、楽器と演奏するのが好きなんだ。異なるサウンドをシェアできるっていいものだよ。チェロがどんな音にも馴染める証明になる。ギター、アコーディオン、バイオリン、ピアノ、チェロとのコンサートは最高だった。いいサウンドができたよ。
――ファンへのメッセージをお願いします。
ステファン: 日本のファンのみんなが大好きだよ。これからも応援してくれるとうれしいな。これから先何年だって、音楽へのパッションを表現し続けるつもりだ。We love you, thank you!
ルカ: いつだって日本へ戻ってくるのは楽しいよ。武道館でのショーは長年の夢、素晴らしい体験をさせてもらっている。また戻ってきて日本の各地でコンサートをやるよ!
(インタビュー、終わり)
新譜情報
『レット・ゼア・ビー・チェロ~チェロ魂~』
・2018年10月17日日本先行発売
・日本盤ボーナス・トラック1曲収録
・日本限定独自企画・完全生産限定盤:BSCD2+DVD:SICP31184-5 ¥3704+税
・通常盤:BSCD2:SICP31186 ¥2500+税 (CDのみ)
<収録曲>
1. Concept2(コンセプト2)*2CELLOSオリジナル新作
2. Eye of the Tiger(アイ・オブ・ザ・タイガー/サバイバー)
3. Pirates of the Caribbean(パイレーツ・オブ・カリビアン/ハンス・ジマー)
4. Cadenza(カデンツァ)*2CELLOSオリジナル新作
5. Hallelujah(ハレルヤ/レナード・コーエン)
6. Perfect(パーフェクト/エド・シーラン)
7. Vivaldi Storm(ヴィヴァルディ・ストーム [ヴィヴァルディ:四季より「夏」第3楽章])
8. Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を/レッド・ツェッペリン)
9. Seven Nation Army(セヴン・ネイション・アーミー/ホワイト・ストライプス)
10. Asturias Meets Carmen(アストゥーリアス・ミーツ・カルメン/アルベニス&ビゼー)
11. Despacito(デスパシート/ルイス・フォンシfeat ダディ・ヤンキー)
12. The Show Must Go On(ショウ・マスト・ゴー・オン/クイーン)
13. Imagine(イマジン/ジョン・レノン)
14. Champions Anthe(チャンピオンズ・アンセム/ヘンデル)
【日本盤ボーナス・トラック】
15 All Day and All of the Night(オール・オブ・ザ・ナイト/キンクス)
<日本限定仕様ボーナスDVD>
(日本独自企画ミュージック・ビデオ集)()内はオリジナル演奏アーティスト
1アイ・オブ・ザ・タイガー(サバイバー)
2パーフェクト(エド・シーラン)
3ヴィヴァルディ・ストーム<四季より「夏」第3楽章>
4胸いっぱいの愛を(レッド・ツェッペリン)
5セヴン・ネイション・アーミー(ホワイト・ストライプス)
6デスパシート(ルイス・フォンシfeat ダディ・ヤンキー)
7ショウ・マスト・ゴー・オン(クイーン)
アルバム・リンク
日本限定仕様CD+DVD2枚組 品番:SICP-31184
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&cd=SICP000031184&cid=prl-SICP000031184
http://www.sonymusic.co.jp/artist/2cellos/discography/SICP-31184
通常盤CD 品番:SICP-31186
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&cd=SICP000031186&cid=prl-SICP000031186
http://www.sonymusic.co.jp/artist/2cellos/discography/SICP-31186
来日情報:2CELLOS 一夜限りの武道館公演
【東京】
11/19(月) 日本武道館
チケット:S¥9,800 A¥8,800(税込・座席指定)
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
https://udo.jp/concert/2Cellos
バイオグラフィー
“2本のチェロでロックする”2CELLOS(読み:トゥー・チェロズ)は、クロアチア出身のルカ・スーリッチ(1987/8/25-)とステファン・ハウザー(1986/6/15-)の2人が結成したチェロ・デュオ・ユニット。クラシック界で将来を有望視されていた2人が留学先のロンドンで再会し、2011年1月20日マイケル・ジャクソンの「スムーズ・クリミナル」を2本のチェロのみで演奏した自主制作映像をYouTubeにアップ。若き無名のチェリスト2人による超絶・情熱のパフォーマンス映像は、たちまち世界中で話題となり、ソニー・マスターワークスと契約。2011年6月、アルバム『2CELLOS』でCDデビュー。全米クラシカル・クロスオーヴァー・チャートとアマゾンUSクラシカル・チャートで1位となり、無名の新人として驚異的なチャートアクションを記録。全米大ヒットTV番組『glee/グリー(シーズン3~エピソード10:マイケル・ジャクソン・トリビュート ~2012/1/31OA)』に初のインスト奏者としてゲスト出演を果たした。
超絶チェロ×渾身のパフォーマンスは更なる進化を遂げ、今やニューヨークのラジオ・シティ・ホール、ロンドン:ロイヤル・アルバート・ホールを始め世界各地でソールド・アウト・ツアーを敢行。日本へは2012年の初来日公演以来定期的に訪日。2016年7月には20周年を迎えたFUJI ROCK FESTIVAL2016に初出演、2017年は5月10-23日まで2年ぶりの来日公演を7都市9公演で開催した。
これまで共演したアーティストにはスティーヴン・タイラー、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、故ジョージ・マイケル、エルトン・ジョン,クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ等がいる。
これまで4枚のオリジナル・アルバムを発売。前作は2017年2月に発売した映画音楽集「スコア」で、イギリスのグラミー賞として知られるクラシック・ブリット・アワードのグループ・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた。
2017年はニューヨークのラジオシティホール、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでもデビュー、いずれもソールドアウト公演となり大成功を収めた。今年5月26日キエフで行われたUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝戦では「セヴン・ネイション・アーミー」と「チャンピオンズ・アンセム」を演奏した。
来日は2012年1月、2013年2月、2014年3月、2015年6月、2017年5月の単独ツアー5回と、2016年7月フジロックフェステイバルに出演しており、11月19日武道館公演は約1年半ぶりの来日公演となる。
● 日本公式
http://www.sonymusic.co.jp/artist/2cellos/
動画情報
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